小説『火星ダーク・バラード』読了。
火星の局地的テラフォーミングが進み、木星への移住も見えているといったレベルの世界が舞台のお話。
連続殺人犯を追うハードボイルドな刑事が、捜査をすすめるうち火星政府の重要な秘密に近づき、命を狙われていくというべたながら熱い展開です。
ヒロインが遺伝子操作で生まれたニュータイプっぽい特殊能力者ということでこれもすごくべたな設定なんだけど、科学的バックグラウンドの描き込みが良くSFとしてもとても楽しめました。
この特殊能力が「他人の感情が読める」(思考ではない)と、「特定の人の思ったとおりに物を動かせたりする」という感じの、能力者本人だけでは力を発揮できないという物で、この設定がまた良かったんだけど最後これが生かされてなかったのはちょっと残念だったかな。
混沌とした移住地の雰囲気や物語のスピード感、テラフォーミングの様子や軌道エレベータの表現などなど、全体的にときめく要素が満載で一気に読んでしまった。満足でした。
2011/08/18
2011/07/24
岩崎夏海 『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』
文章が小学生の読書感想文レベル。酷すぎておどろきました。
一応小説ということらしいですが、商業ベースでこれ以下のものを僕は知りません。
本当にドラッカーの『マネジメント』を読んだ上で顧客志向であるなら、この文章をそのままもう少しまともな文章が作れる者に渡し、ゼロから書き直してもらってから出版すべき。
これが物凄く売れた理由は、あとがきに名前が踊る某有名プロデューサーの力なんでしょう。
真面目にマーケティングなんかしなくても、真摯さが無い適当な作品でも、豪腕プロデューサーがマスメディアをゴリゴリ動かせば売れてしまうんだなあというのが改めて実感できる、これ以上無いほどの矛盾を抱えた本でした。
一応小説ということらしいですが、商業ベースでこれ以下のものを僕は知りません。
本当にドラッカーの『マネジメント』を読んだ上で顧客志向であるなら、この文章をそのままもう少しまともな文章が作れる者に渡し、ゼロから書き直してもらってから出版すべき。
これが物凄く売れた理由は、あとがきに名前が踊る某有名プロデューサーの力なんでしょう。
真面目にマーケティングなんかしなくても、真摯さが無い適当な作品でも、豪腕プロデューサーがマスメディアをゴリゴリ動かせば売れてしまうんだなあというのが改めて実感できる、これ以上無いほどの矛盾を抱えた本でした。
2011/07/18
市川拓司『そのときは彼によろしく』
図書館で借りた「話題になった本コーナー」から2冊目。
29歳の男女が、14歳の思い出話をしながらストーリーが進んでいく。
だんだんと昔の話と現在進行形の話がリンクしていくラブストーリー。台詞まわしがいちいち洒落ていて読んでいてニヤニヤするというか恥ずかしいというか、まあむずむずします。
複雑な描写もなく読みやすかったです。
この作者さん、『いま、会いにゆきます 』を書いた人でした。この作品もそうだったんだけど、話が終わったと思ったところからあり得ないようなSF的設定が展開します。
なかなか面白かった。今検索してみたら映画化されてました。これも機会があったら観てみたいな。
29歳の男女が、14歳の思い出話をしながらストーリーが進んでいく。
だんだんと昔の話と現在進行形の話がリンクしていくラブストーリー。台詞まわしがいちいち洒落ていて読んでいてニヤニヤするというか恥ずかしいというか、まあむずむずします。
複雑な描写もなく読みやすかったです。
この作者さん、『いま、会いにゆきます 』を書いた人でした。この作品もそうだったんだけど、話が終わったと思ったところからあり得ないようなSF的設定が展開します。
なかなか面白かった。今検索してみたら映画化されてました。これも機会があったら観てみたいな。
田村裕『ホームレス中学生』
先日行った図書館で「話題になった本コーナー」に置いてあったのをみて読んでみることにしました。
ボリュームとしては1時間程で読み終わってしまうくらい。文章もなおしきっていないような荒い感じで、これで大金持ちってのはなんともうらやましいわけですが、実際にその体験談はすごいものでした。
中学で家を放り出されたら自分だったら簡単に野垂れ死にしそう。
しかし田村さんはよい巡り合わせがギリギリのところで助けてくれる、というのが何度か続き、芸人になるまで食いつなげたというまあ有名なお話でした。
後半ちょっとだれたけど段ボールを食べるくだりの辺はほんとに面白かった。
ボリュームとしては1時間程で読み終わってしまうくらい。文章もなおしきっていないような荒い感じで、これで大金持ちってのはなんともうらやましいわけですが、実際にその体験談はすごいものでした。
中学で家を放り出されたら自分だったら簡単に野垂れ死にしそう。
しかし田村さんはよい巡り合わせがギリギリのところで助けてくれる、というのが何度か続き、芸人になるまで食いつなげたというまあ有名なお話でした。
後半ちょっとだれたけど段ボールを食べるくだりの辺はほんとに面白かった。
2011/05/01
『生贄のジレンマ』〈上〉〈中〉〈下〉/土橋 真二郎
『生贄のジレンマ』〈上〉〈中〉〈下〉/土橋 真二郎 読了。
T君がGANTZのついでに貸してくれた。続きが気になるお話で、2日ほどで3冊通して読んでしまった。勢いがあって面白かったです。
ストーリーは高校の1学年320人がが学校に閉じ込められ、不条理な死のルールの中に放り込まれるという内容。
登場人物達がどう行動するかという思考実験的なお話でした。
ルールはタイムリミット毎に「1人が生贄志願すれば学年全員が生き残る」「志願者がいない場合はクラス毎に投票が行われ、得票トップの者が死ぬ」 「トップが同点タイの場合(0点でも)該当者が全員死ぬ」といったもので、小説というメディアで考えると『バトルロワイヤル』っぽいんだけどテーブルゲー ムの『人狼』とか、もしくは『デスノート』みたいな感じの印象が強かった。
このタイムリミットが次々来るので緊張感が続きます。
主人公がいかにもギャルゲーやラノベの主人公という感じ。なんか斜に構えてて人と絡まないので途中であれ?主人公だと思ってたやつ死んだっけ?と思ってちょっと読み返したくらい。
あとは女性キャラが『優しい』『活発』『綾波』『冷酷』といった感じでこれまたギャルゲーのように用意されており楽しめました。
さすがに綾波キャラの名前がレイっていうのはやりすぎじゃないかと思った。
この作者さん、他にも閉じ込め系のお話をたくさん書いてるらしいので、そのうち他の作品も読んでみたい。
これ入院前に読みきってしまったのは勿体無かったなあ。2日間には丁度よいボリュームだったのに。
T君がGANTZのついでに貸してくれた。続きが気になるお話で、2日ほどで3冊通して読んでしまった。勢いがあって面白かったです。
ストーリーは高校の1学年320人がが学校に閉じ込められ、不条理な死のルールの中に放り込まれるという内容。
登場人物達がどう行動するかという思考実験的なお話でした。
ルールはタイムリミット毎に「1人が生贄志願すれば学年全員が生き残る」「志願者がいない場合はクラス毎に投票が行われ、得票トップの者が死ぬ」 「トップが同点タイの場合(0点でも)該当者が全員死ぬ」といったもので、小説というメディアで考えると『バトルロワイヤル』っぽいんだけどテーブルゲー ムの『人狼』とか、もしくは『デスノート』みたいな感じの印象が強かった。
このタイムリミットが次々来るので緊張感が続きます。
主人公がいかにもギャルゲーやラノベの主人公という感じ。なんか斜に構えてて人と絡まないので途中であれ?主人公だと思ってたやつ死んだっけ?と思ってちょっと読み返したくらい。
あとは女性キャラが『優しい』『活発』『綾波』『冷酷』といった感じでこれまたギャルゲーのように用意されており楽しめました。
さすがに綾波キャラの名前がレイっていうのはやりすぎじゃないかと思った。
この作者さん、他にも閉じ込め系のお話をたくさん書いてるらしいので、そのうち他の作品も読んでみたい。
これ入院前に読みきってしまったのは勿体無かったなあ。2日間には丁度よいボリュームだったのに。
2011/01/28
小川一水『フリーランチの時代』
小川一水『フリーランチの時代』読了。
5つの作品が収められた短編集でした。
登場人物たちの感情や思考が丁寧に描かれている分、ストーリー展開やそのスケールの大きさに驚かされます。
シンプルな描写で数百年単位の時間の流れを表現する手法もすごく良い。おもしろくて1日で読みきってしまった。
『時砂の王』の外伝が書下ろしで収録されていたのは嬉しかったです。もう一度本作のほうを読みたくなりました。
あと、宇宙を飛び回るニートの話が良かった。太陽系サイズの近未来SFってやっぱり独特のときめきがありますねえ。文章を読み進めていくうちに「あれ?これってもしかして…」と誘導してくれる仕掛けがしてあってとても楽しめました。
SF好きなら読んでおいて損は無い一冊。読みやすくてとてもおすすめできます。
5つの作品が収められた短編集でした。
登場人物たちの感情や思考が丁寧に描かれている分、ストーリー展開やそのスケールの大きさに驚かされます。
シンプルな描写で数百年単位の時間の流れを表現する手法もすごく良い。おもしろくて1日で読みきってしまった。
『時砂の王』の外伝が書下ろしで収録されていたのは嬉しかったです。もう一度本作のほうを読みたくなりました。
あと、宇宙を飛び回るニートの話が良かった。太陽系サイズの近未来SFってやっぱり独特のときめきがありますねえ。文章を読み進めていくうちに「あれ?これってもしかして…」と誘導してくれる仕掛けがしてあってとても楽しめました。
SF好きなら読んでおいて損は無い一冊。読みやすくてとてもおすすめできます。
2010/11/06
神林長平『戦闘妖精・雪風<改>』
神林長平『戦闘妖精・雪風<改>』読了しました。
1983年頃の作品とのことですが、古さを感じさせない世界観と雰囲気でなかなか面白く読めました。
南極に打ち込まれた杭状の超空間通路と正体不明の敵、いつ果てるとも分からない消耗戦に対して投入された一般社会に適合できなかった戦士達。
連作の短編で構成されたストーリーが、少しづつ人間の道具であるはずの『コンピュータ』を不気味に描き出していくところがなかなか圧巻でした。
敵である『ジャム』は全く正体不明なところから段々と見えてくるところがとても惹きつけられます。
続編2作を読むのが愉しみです。
1983年頃の作品とのことですが、古さを感じさせない世界観と雰囲気でなかなか面白く読めました。
南極に打ち込まれた杭状の超空間通路と正体不明の敵、いつ果てるとも分からない消耗戦に対して投入された一般社会に適合できなかった戦士達。
連作の短編で構成されたストーリーが、少しづつ人間の道具であるはずの『コンピュータ』を不気味に描き出していくところがなかなか圧巻でした。
敵である『ジャム』は全く正体不明なところから段々と見えてくるところがとても惹きつけられます。
続編2作を読むのが愉しみです。
2010/09/05
冲方丁『天地明察』
久々に読んだ一冊。江戸時代前期に実在した天文暦学者、渋川晴海の一生を描いた内容です。
晴海は長男でありながら家督は既に義兄が継いでおり、碁打ちで城勤めし、趣味で算術を行うという飄々として今ひとつ頼り無い雰囲気で登場する主人公。
しかしその誠実な人柄で様々な人から見込まれ、さらに人脈をつくりながら「暦の改定」という巨大プロジェクトに挑んで行く、といったお話です。
ヒロインの『えん』、ライバルキャラの関孝和と本因坊道策、師匠キャラの建部と伊藤などなど、登場人物が非常に魅力的でした。
関は算術の天才、道策は囲碁の天才で両名とも歴史に残る、主役をはれるような人物。
師匠たちは壮年でありながら向学心に溢れる研究家たちで、読んでいてときめきがあります。
それから大きな後ろ盾になる保科正之と水戸光圀も、出てくるとニヤリとしてしまうかっこよさでした。
チャンバラのシーンは一文字もありませんが、壮大な戦いを描いています。このあたりはマルドゥックスクランブル後半のカジノバトルと通じるところを感じました。
爽やかな青春模様を綴ったとてもよい時代小説だと思います。井上さんあたりに(バガボンドはもういいから)これを漫画化して欲しい。それか再来年あたりに大河ドラマにして欲しい。
晴海は長男でありながら家督は既に義兄が継いでおり、碁打ちで城勤めし、趣味で算術を行うという飄々として今ひとつ頼り無い雰囲気で登場する主人公。
しかしその誠実な人柄で様々な人から見込まれ、さらに人脈をつくりながら「暦の改定」という巨大プロジェクトに挑んで行く、といったお話です。
ヒロインの『えん』、ライバルキャラの関孝和と本因坊道策、師匠キャラの建部と伊藤などなど、登場人物が非常に魅力的でした。
関は算術の天才、道策は囲碁の天才で両名とも歴史に残る、主役をはれるような人物。
師匠たちは壮年でありながら向学心に溢れる研究家たちで、読んでいてときめきがあります。
それから大きな後ろ盾になる保科正之と水戸光圀も、出てくるとニヤリとしてしまうかっこよさでした。
チャンバラのシーンは一文字もありませんが、壮大な戦いを描いています。このあたりはマルドゥックスクランブル後半のカジノバトルと通じるところを感じました。
爽やかな青春模様を綴ったとてもよい時代小説だと思います。井上さんあたりに(バガボンドはもういいから)これを漫画化して欲しい。それか再来年あたりに大河ドラマにして欲しい。
2010/05/18
村上春樹『1Q84』
Book1~3、読了しました。
このシリーズ売れに売れているということで、なんだか流行に乗ってしまっている感がありますが、高校時代から村上春樹ファンでありどの作品も読めばほぼ確実に楽しめることが分かっている物を読まない手はありません。
二人の主人公、天吾と青豆が『1984年の日本』から、『1Q84年』の世界へと迷いこむというストーリー。
1Q84の世界は1984の世界とほとんど変わりません。2つめの月やリトル・ピープルなどファンタジックな物がいくつか登場しますが、それらが実在するのか主人公たちの幻覚なのかは最後まではっきりしない。そのような、どこまでも現実に近い架空の世界が舞台となります。
3巻という珍しいほどたっぷりのボリュームで、どこかおかしみのある文章や細部にこだわった表現、突然現れる不条理など、村上春樹氏ならではの世界を存分に楽しむことができました。
小説家の天吾、殺し屋の青豆といった個性的な主人公達以外にも、奇妙で魅力的な人物が沢山登場し、物語にどんどん引き込まれます。
個人的に良かったのは「牛河」。Book1、Book2では「天吾の物語」と「青豆の物語」が緩やかに平行して進む形でしたがBook3では「牛河の物語」が織り込まれ、脇役(?)ながらストーリー全体をぐいぐいと進めていきます。
牛河はものすごく醜く誰からも好かれない男として描かれているんだけど、この人を追っていく話が非常に面白かった。
平行して進む物語のあちこちに天吾のお父さんらしき人が現れるのも楽しい。それから物語の重要な位置を占める『ふかえり』は村上作品に必ず登場する「変わった女の子」の位置づけで、インパクトのある萌えキャラになっています。
不思議というか相変わらず“わけのわからない”お話で、謎解きや解釈で長めに楽しめるお話になっています。
小説でなければ表現できない世界、読書でなければ得られない感動というものがあるのだけど、やはり村上春樹の作品は文章で読んでこその面白さというものを実感できるなと感じました。
貸している1,2巻が戻ってきたらまたじっくり読みたい。
このシリーズ売れに売れているということで、なんだか流行に乗ってしまっている感がありますが、高校時代から村上春樹ファンでありどの作品も読めばほぼ確実に楽しめることが分かっている物を読まない手はありません。
二人の主人公、天吾と青豆が『1984年の日本』から、『1Q84年』の世界へと迷いこむというストーリー。
1Q84の世界は1984の世界とほとんど変わりません。2つめの月やリトル・ピープルなどファンタジックな物がいくつか登場しますが、それらが実在するのか主人公たちの幻覚なのかは最後まではっきりしない。そのような、どこまでも現実に近い架空の世界が舞台となります。
3巻という珍しいほどたっぷりのボリュームで、どこかおかしみのある文章や細部にこだわった表現、突然現れる不条理など、村上春樹氏ならではの世界を存分に楽しむことができました。
小説家の天吾、殺し屋の青豆といった個性的な主人公達以外にも、奇妙で魅力的な人物が沢山登場し、物語にどんどん引き込まれます。
個人的に良かったのは「牛河」。Book1、Book2では「天吾の物語」と「青豆の物語」が緩やかに平行して進む形でしたがBook3では「牛河の物語」が織り込まれ、脇役(?)ながらストーリー全体をぐいぐいと進めていきます。
牛河はものすごく醜く誰からも好かれない男として描かれているんだけど、この人を追っていく話が非常に面白かった。
平行して進む物語のあちこちに天吾のお父さんらしき人が現れるのも楽しい。それから物語の重要な位置を占める『ふかえり』は村上作品に必ず登場する「変わった女の子」の位置づけで、インパクトのある萌えキャラになっています。
不思議というか相変わらず“わけのわからない”お話で、謎解きや解釈で長めに楽しめるお話になっています。
小説でなければ表現できない世界、読書でなければ得られない感動というものがあるのだけど、やはり村上春樹の作品は文章で読んでこその面白さというものを実感できるなと感じました。
貸している1,2巻が戻ってきたらまたじっくり読みたい。
2010/05/07
綿谷りさ『インストール』
綿谷りさ『インストール』読了。
主人公である高校生の朝子は、自分の存在意義や将来に対する漠然とした不安から、なぜか自分の部屋のものを全部捨てるという暴挙に出ます。その時ゴミ捨て場で出会った小学生から風俗チャットのバイトを持ちかけられるというなかなかはじけたお話。
会社で休み時間をぬってあっという間に読み終わりました。若さ故の、自分を持て余している感覚がそのままに表現されており楽しい作品です。
どっぷり感情移入するほどではなくて、誰かのブログを読むようなライトな感覚で読み進むことができます。導入のところはいかにも“初めて書いた”といった凝った文章になってますが、ぜんぜん嫌な感じはしない。
話題作りとか、当時の受賞の是非については良く分かりませんが、単純に一つのお話としてなかなか面白かったです。
ネットの描写が少々レトロだな、と感じて、ほんの数年でネット環境がまたものすごく変わってしまっているんだということに気づいた。本作品が文藝賞を受賞したのが2001年。電車男以前の、ネットが市民権を得始めた頃の雰囲気がかすかに思い出される気がします。
主人公である高校生の朝子は、自分の存在意義や将来に対する漠然とした不安から、なぜか自分の部屋のものを全部捨てるという暴挙に出ます。その時ゴミ捨て場で出会った小学生から風俗チャットのバイトを持ちかけられるというなかなかはじけたお話。
会社で休み時間をぬってあっという間に読み終わりました。若さ故の、自分を持て余している感覚がそのままに表現されており楽しい作品です。
どっぷり感情移入するほどではなくて、誰かのブログを読むようなライトな感覚で読み進むことができます。導入のところはいかにも“初めて書いた”といった凝った文章になってますが、ぜんぜん嫌な感じはしない。
話題作りとか、当時の受賞の是非については良く分かりませんが、単純に一つのお話としてなかなか面白かったです。
ネットの描写が少々レトロだな、と感じて、ほんの数年でネット環境がまたものすごく変わってしまっているんだということに気づいた。本作品が文藝賞を受賞したのが2001年。電車男以前の、ネットが市民権を得始めた頃の雰囲気がかすかに思い出される気がします。
2010/05/06
読むのをやめた小説
小説、萱野葵『ダンボールハウスガール』、途中まで読んだんだけどもうやめた。
このお話、OLである主人公が貯金を泥棒に入られて失い、やけくそになって仕事を辞めて路上生活を始めるといった内容です。
一人称視点の文章なのに主人公の性格が荒みすぎていて、汚い言葉と見下した表現が延々と続いていくのを読むのは相当しんどい。2割程度まで頑張って読んだけどギブアップ。
読むのをやめた小説ってあったかな、と考えたら思い出した。「家畜人ヤプー」は途中で読むのが面倒になってやめたんだ。
こちらはあらすじどころかタイトルを書くのもためらうようなえぐい内容でその時点でダメな人は多いようですが、それだけでなく無駄に小難しい解説文が延々と続き二重の苦しみがありました。書き手がストーリー運びを無視して厨二SF設定とグロ表現ばかり書いていることに読み疲れ、後回しにしようと思ったまま結局読めていない。
あと実は「指輪物語」、読んでません。フロド達が旅に出てある森に入ると、謎の老人が出てきて歌ったり踊ったりするのですが、第1部の中程まで読んでもまだそのじいさんが歌いまくってるのでなんだか読むのがバカらしくなって読み進むのをやめてしまったのです。
まあ世の中、読めない物もたくさんある。うん。
このお話、OLである主人公が貯金を泥棒に入られて失い、やけくそになって仕事を辞めて路上生活を始めるといった内容です。
一人称視点の文章なのに主人公の性格が荒みすぎていて、汚い言葉と見下した表現が延々と続いていくのを読むのは相当しんどい。2割程度まで頑張って読んだけどギブアップ。
読むのをやめた小説ってあったかな、と考えたら思い出した。「家畜人ヤプー」は途中で読むのが面倒になってやめたんだ。
こちらはあらすじどころかタイトルを書くのもためらうようなえぐい内容でその時点でダメな人は多いようですが、それだけでなく無駄に小難しい解説文が延々と続き二重の苦しみがありました。書き手がストーリー運びを無視して厨二SF設定とグロ表現ばかり書いていることに読み疲れ、後回しにしようと思ったまま結局読めていない。
あと実は「指輪物語」、読んでません。フロド達が旅に出てある森に入ると、謎の老人が出てきて歌ったり踊ったりするのですが、第1部の中程まで読んでもまだそのじいさんが歌いまくってるのでなんだか読むのがバカらしくなって読み進むのをやめてしまったのです。
まあ世の中、読めない物もたくさんある。うん。
2009/08/24
『終末のフール』伊坂幸太郎
伊坂幸太郎氏著『終末のフール』読了。
僕の大好きな「世界滅亡モノ」ということで、本屋でジャケ買いしておいたものです。
あと8年で地球に小惑星が衝突する、と発表された5年後の世界。つまりあと3年で地球滅亡という状況で生きる人々のお話です。
地球滅亡の発表後、人々が逃げ場が無いのに逃げたり自棄になって殺人をおかしたり自殺したり、といった激しい混乱が起こったようなのですが、その時の描写は過去形で語られるのみ。
本編は落ち着いてきた(あきらめた?)といった小康状態の中で、さまざまな登場人物が他人との関わりを変えていく様子が描かれています。
残り時間が3年というのが絶妙な感覚だなー、と思いました。絶縁してしまった家族や、妊娠を知ったカップルなど、残り時間を考えると自分ならどうするだろうと非常に感情移入しやすいエピソードが多かった気がします。
あまり切迫感は無いのでハラハラしたり泣けたりという感じではないです。じわっと来る感じ。
かなり久々に本を読んだんだけど、とても読みやすかった。
僕の大好きな「世界滅亡モノ」ということで、本屋でジャケ買いしておいたものです。
あと8年で地球に小惑星が衝突する、と発表された5年後の世界。つまりあと3年で地球滅亡という状況で生きる人々のお話です。
地球滅亡の発表後、人々が逃げ場が無いのに逃げたり自棄になって殺人をおかしたり自殺したり、といった激しい混乱が起こったようなのですが、その時の描写は過去形で語られるのみ。
本編は落ち着いてきた(あきらめた?)といった小康状態の中で、さまざまな登場人物が他人との関わりを変えていく様子が描かれています。
残り時間が3年というのが絶妙な感覚だなー、と思いました。絶縁してしまった家族や、妊娠を知ったカップルなど、残り時間を考えると自分ならどうするだろうと非常に感情移入しやすいエピソードが多かった気がします。
あまり切迫感は無いのでハラハラしたり泣けたりという感じではないです。じわっと来る感じ。
かなり久々に本を読んだんだけど、とても読みやすかった。
2009/03/30
ライラの冒険 琥珀の望遠鏡
ライラの冒険シリーズ3部作の最終部、『琥珀の望遠鏡』上下巻を読了しました。
いくつかの平行世界と、それを繋ぐアイテム-『黄金の羅針盤』『神秘の短剣』『琥珀の望遠鏡』-それぞれの力と謎が読み進むにつれ明らかになっていきます。
町の子供が行方不明になるという事件から始まったストーリーは、複数の世界に住む人類達の、魂や死のあり方をめぐる壮大な戦いへと繋がっていきます。
ライラとウィルのキャラクター性は1部2部で十分に語られていますが、それらは変わらず魅力的でした。
他のキャラクター達もそれぞれ健在です(死んでたりもするけど)。ライラの母親であり強力な敵役として描かれているコールター夫人が、丁寧に表現されていてとても良いです。2部、3部と映像化されるのが非常に楽しみ。
これまでも熊やら魔女やら変わった種族が出てきてましたが、「天使」や「小人」、さらにはもっと不思議な生き物も登場してきます。
ヘリコプターと飛空挺が同時に現れたり、魔法科学っぽい最強兵器「意思機」などなど非常にときめくファンタジー要素が満載です。
戦闘シーンはかなり激しいので映像化が少々心配ではありますが、早く映画の続編が見たい。
全編を通して、翻訳の文章がすばらしかったです。多分元の文章も美しいのだろうけれど。
久々に本を読む余裕が生まれてきたので、また積んである本を崩しにかかっていきたいと思います。
いくつかの平行世界と、それを繋ぐアイテム-『黄金の羅針盤』『神秘の短剣』『琥珀の望遠鏡』-それぞれの力と謎が読み進むにつれ明らかになっていきます。
町の子供が行方不明になるという事件から始まったストーリーは、複数の世界に住む人類達の、魂や死のあり方をめぐる壮大な戦いへと繋がっていきます。
ライラとウィルのキャラクター性は1部2部で十分に語られていますが、それらは変わらず魅力的でした。
他のキャラクター達もそれぞれ健在です(死んでたりもするけど)。ライラの母親であり強力な敵役として描かれているコールター夫人が、丁寧に表現されていてとても良いです。2部、3部と映像化されるのが非常に楽しみ。
これまでも熊やら魔女やら変わった種族が出てきてましたが、「天使」や「小人」、さらにはもっと不思議な生き物も登場してきます。
ヘリコプターと飛空挺が同時に現れたり、魔法科学っぽい最強兵器「意思機」などなど非常にときめくファンタジー要素が満載です。
戦闘シーンはかなり激しいので映像化が少々心配ではありますが、早く映画の続編が見たい。
全編を通して、翻訳の文章がすばらしかったです。多分元の文章も美しいのだろうけれど。
久々に本を読む余裕が生まれてきたので、また積んである本を崩しにかかっていきたいと思います。
2008/10/30
ライラの冒険 第2部「神秘の短剣」

フィリップ・プルマン氏著『ライラの冒険 第2部「神秘の短剣」』読了。
文庫の上下巻、一気に読んでしまいました。
第1部でちりばめられた謎を、うっすらと想像できるようなレベルで補強したり匂わせたりされます。推理する感覚がとても楽しい。また、前作同様に翻訳の文章も素晴らしいです。
今作は前回のファンタジーっぽさを引き継ぎつつ、守護精霊『ダイモン』のいる世界と、現実の地球の世界、その中間の世界と複数が舞台になっていました。
主人公である、地球人の少年ウィルは、達観しつつも冒険心に溢れていてなかなかいい感じです。ライラは相変わらず口先だけで切り抜けていくキャラで面白い。
タイトルになっている『神秘の短剣』はライラの持つ『真理計』と同様、非常に強力で重要な役目をもつアイテムであり、読んでいてときめきます。
物凄く壮大な話です。3作目を読むのが楽しみ。映像化されるのも楽しみです。
2008/10/07
キノの旅

時雨沢恵一氏著『キノの旅』1巻読了。
主人公のキノと、バイクである相棒のエルメスがいろいろな国を訪ねるお話。
訪れる「国」がおそらくそれぞれ町程度の大きさであることと、キノが「1つの国には3日しか滞在しない」と言うルールを自らに課していることから、1つのお話イコール1つの国になっていて、それぞれかショートショートといってもいいような文章量です。
一つ一つの話はイソップ物語のようなうっすら教訓めいた内容なんだけど、多分それぞれの国の変わった状況に読者を放り込んで楽しませるというのがメインなんだろうなと思います。
キノとエルメスの二人がハッキリしたキャラクターで、安心して読めます。ちょっとした裏設定なんかも段々と見えてきて、先を読むのもちょっと楽しみです。
2008/10/06
魂の駆動体
神林長平氏著『魂の駆動体』読了。
僕自身あまりクルマと言うものに興味が無いので、勧められていなければ読まなかったであろう一冊です。

物語は、自動車が自動運転に切り替わり、一部の人間が肉体を捨てて仮想空間に移住し始めている未来が舞台。
主人公とその友人は老人ホームで気ままに暮らしているのですが、あるきっかけから「自分で運転するクルマ」の設計にとりかかります。
自動車の設計に関する詳細な描きこみそのものもなかなか興味深く読めるのだけど、ハードウェアに対するこだわりを綿密に表現することにより、逆にこのストーリーのテーマである「魂」や「意識」といったものについて深く考えさせられる気がしました。
イメージにこだわる主人公と理屈っぽい技術屋などが粘り強く意見をぶつけ合い、ケンカしながら設計していく様子はすごくリアルで楽しい。
クルマという複雑な機械を作り上げていく様子、エンジンの繊細さや力強さ、走ることについての思いなどなど、ちょっと厚めの本だったけど一気に読めました。
中盤からは読者があっと驚くような展開も待っています。読んでよかったと思える一冊でした。
僕自身あまりクルマと言うものに興味が無いので、勧められていなければ読まなかったであろう一冊です。

物語は、自動車が自動運転に切り替わり、一部の人間が肉体を捨てて仮想空間に移住し始めている未来が舞台。
主人公とその友人は老人ホームで気ままに暮らしているのですが、あるきっかけから「自分で運転するクルマ」の設計にとりかかります。
自動車の設計に関する詳細な描きこみそのものもなかなか興味深く読めるのだけど、ハードウェアに対するこだわりを綿密に表現することにより、逆にこのストーリーのテーマである「魂」や「意識」といったものについて深く考えさせられる気がしました。
イメージにこだわる主人公と理屈っぽい技術屋などが粘り強く意見をぶつけ合い、ケンカしながら設計していく様子はすごくリアルで楽しい。
クルマという複雑な機械を作り上げていく様子、エンジンの繊細さや力強さ、走ることについての思いなどなど、ちょっと厚めの本だったけど一気に読めました。
中盤からは読者があっと驚くような展開も待っています。読んでよかったと思える一冊でした。
2008/10/01
老ヴォールの惑星
小川一水氏著『老ヴォールの惑星』読了。
SF短編集で、4作品が収録されていました。
『ギャルナフカの迷宮』というお話が特に気に入りました。
最低限の食料と水のみが与えられた、果て無き迷宮に閉じ込められた人々の話。極限の環境に置かれた人々がどう行動していくのか。
はじめは迷宮の中で出会う人々は、他の人間に会うと石を武器にして牽制しあうような状態です。
自分の命をつなぐために猜疑心に満ち溢れた世界になっているのですが、主人公の行動によって段々と変化していきます。
とても力強く、感動的な終わりでした。面白かった。
最後に収録されていた『漂った男』も良かったです。
たった一人で助けの来ない状態、ただ通信機だけがあって会話が出来るという状況。
SF的要素を使って特殊な状況を作り出して、そこに放り込まれた主人公がどうなっていくのかといったお話の組み立てで、とても引き込まれました。
自分ならどうするだろう、と考えるのがまた楽しい。
他2編も良かったです。『時砂の王』もそうだったけど、これぞSFだっていう感覚が良い。他の作品も楽しめそうです。
SF短編集で、4作品が収録されていました。
『ギャルナフカの迷宮』というお話が特に気に入りました。
最低限の食料と水のみが与えられた、果て無き迷宮に閉じ込められた人々の話。極限の環境に置かれた人々がどう行動していくのか。
はじめは迷宮の中で出会う人々は、他の人間に会うと石を武器にして牽制しあうような状態です。
自分の命をつなぐために猜疑心に満ち溢れた世界になっているのですが、主人公の行動によって段々と変化していきます。
とても力強く、感動的な終わりでした。面白かった。
最後に収録されていた『漂った男』も良かったです。
たった一人で助けの来ない状態、ただ通信機だけがあって会話が出来るという状況。
SF的要素を使って特殊な状況を作り出して、そこに放り込まれた主人公がどうなっていくのかといったお話の組み立てで、とても引き込まれました。
自分ならどうするだろう、と考えるのがまた楽しい。
他2編も良かったです。『時砂の王』もそうだったけど、これぞSFだっていう感覚が良い。他の作品も楽しめそうです。
2008/09/17
無人島に生きる十六人
須川邦彦著『無人島に生きる十六人』読了。
会社のT君が図書館から借りてきてあったのを、休み時間を使って読んでしまいました。
読むのが早すぎる→仕事中に読んでたんじゃないですかという疑惑を持たれましたが誓ってそんなことはありません。
記録小説のようであり半分子供向けのようでもあり、とても読みやすい上面白かったです。
明治時代にあった実話が元になっている、遭難して無人島に漂着した16人の日本人のおじさんたちのお話です。
ちょっと古めかしい文章で語られる、無人島での生活。生き残るために決められたいくつかの規則の最後の項目に「愉快に暮らしていこう」というのがあって面白い。
海亀をひっくり返して捕まえたり、井戸を掘ったり、見張り台を作ったりと無人島での生活を確実に作り上げていく様子が読んでいてわくわくします。
全員が協力して一つ一つ確実に問題解決にあたっていく姿は、明治時代の日本人はこんなだったのかなと想像させられます。きっちりしているようでどこかのんびりしている雰囲気が面白い。
アザラシと仲良くなるエピソードからエンディングに向けてはホロリときました。
『十五少年漂流記』とか『蝿の王』、『ロビンソン・クルーソー』など漂流を題材としたお話で名作といわれるものはたくさんあるけれど、『無人島に生きる十六人』はそれらに負けない、和製漂流記だと思います。
爽快感があって楽しかった。
会社のT君が図書館から借りてきてあったのを、休み時間を使って読んでしまいました。
読むのが早すぎる→仕事中に読んでたんじゃないですかという疑惑を持たれましたが誓ってそんなことはありません。
記録小説のようであり半分子供向けのようでもあり、とても読みやすい上面白かったです。
明治時代にあった実話が元になっている、遭難して無人島に漂着した16人の日本人のおじさんたちのお話です。
ちょっと古めかしい文章で語られる、無人島での生活。生き残るために決められたいくつかの規則の最後の項目に「愉快に暮らしていこう」というのがあって面白い。
海亀をひっくり返して捕まえたり、井戸を掘ったり、見張り台を作ったりと無人島での生活を確実に作り上げていく様子が読んでいてわくわくします。
全員が協力して一つ一つ確実に問題解決にあたっていく姿は、明治時代の日本人はこんなだったのかなと想像させられます。きっちりしているようでどこかのんびりしている雰囲気が面白い。
アザラシと仲良くなるエピソードからエンディングに向けてはホロリときました。
『十五少年漂流記』とか『蝿の王』、『ロビンソン・クルーソー』など漂流を題材としたお話で名作といわれるものはたくさんあるけれど、『無人島に生きる十六人』はそれらに負けない、和製漂流記だと思います。
爽快感があって楽しかった。
2008/09/11
時砂の王
小川一水著『時砂の王』読了。
SFファンタジーを読んでいてこれほど魅了された作品は今まで無かったかもしれない。読み終わってまた最初から読み始めています。
物語は26世紀、宇宙開拓を進めていた人類と、そこに襲い掛かった謎の生命体との戦いから始まります。
壊滅的なダメージを乗り越え攻勢に転じた人類は、敵が歴史改変のため過去に旅立ったことを知ります。主人公のオーヴィルは、過去へ向かってその時代の人間達と共に敵と戦う使命を持って生まれた『メッセンジャー』という存在でした。
メッセンジャー達は人類そのものを救うために、戦闘と時間遡行を10万年にも渡って繰り返していきます。一度過去へ移動してしまうと時間の枝分かれが出来てしまい、未来へ移動したとしても二度と元いた世界には戻れない。
その絶望的な状況を、オーヴィルはたった4ヶ月ほどで作った思い出を糧に戦っていきます。
練りこまれたSF的設定や常に緊張感のある戦闘の描写だけでもとても魅力的な小説なんだけど、それ以上に感情に訴える何かがあると思いました。孤独とか、愛情とか、いろいろと考えされられるお話です。
ページ数は意外と少なくて、読みやすいです。今、これ以上のお勧めはありません。
SFファンタジーを読んでいてこれほど魅了された作品は今まで無かったかもしれない。読み終わってまた最初から読み始めています。
物語は26世紀、宇宙開拓を進めていた人類と、そこに襲い掛かった謎の生命体との戦いから始まります。
壊滅的なダメージを乗り越え攻勢に転じた人類は、敵が歴史改変のため過去に旅立ったことを知ります。主人公のオーヴィルは、過去へ向かってその時代の人間達と共に敵と戦う使命を持って生まれた『メッセンジャー』という存在でした。
メッセンジャー達は人類そのものを救うために、戦闘と時間遡行を10万年にも渡って繰り返していきます。一度過去へ移動してしまうと時間の枝分かれが出来てしまい、未来へ移動したとしても二度と元いた世界には戻れない。
その絶望的な状況を、オーヴィルはたった4ヶ月ほどで作った思い出を糧に戦っていきます。
練りこまれたSF的設定や常に緊張感のある戦闘の描写だけでもとても魅力的な小説なんだけど、それ以上に感情に訴える何かがあると思いました。孤独とか、愛情とか、いろいろと考えされられるお話です。
ページ数は意外と少なくて、読みやすいです。今、これ以上のお勧めはありません。
2008/09/09
宮部みゆき『ICO -霧の城-』
宮部みゆき著、『ICO -霧の城-』を読了。
同名のプレステ2用ゲームをノベライズした作品です。ちょっと調べてみると、どうもゲームのファンからはこの小説に対して厳しい評価があるようでした。というのも、ICOというゲームはかなり説明を省いた作りになっていて、ストーリーについてはプレイヤーの想像に任せている部分が大きい。自分なりのストーリーを思い描いていた人からすると、それとズレた部分が違和感になってしまうからみたいです。
僕はこのゲーム遊んだことが無かったので、純粋に小説として楽しめました。
主人公のイコは生まれながらに生贄とされることが決められていた少年。生贄として捧げられた“霧の城”で、鋼鉄の檻に閉じ込められた少女と出会ったイコが、少女と共に外の世界を求めるというストーリー。
導入部分では生贄として育てられたイコと彼の育ての親、友人が、理不尽な運命に苦しむ姿が丁寧に描かれています。独特な世界観や活き活きした少年たち、そこに重苦しく圧し掛かる呪い。物語りの世界に引き込まれました。
おそらくゲームそのものの再現であろう城の描写や冒険についてはちょっと読み難いなと思う部分もあったけれど、それでも少女の手を引きながら進んでいく緊張感が伝わってきます。
中盤からクライマックスにかけては少女の視点や無人の城の過去の姿が描かれ、少しづつ序盤に展開された謎を解き明かしていきます。
城の空気感というのかな、無人なのに松明が灯り、幽霊が徘徊する雰囲気が冒険の感覚を味わえてすごくいい。その雰囲気の中でも、主人公のイコが前向きで希望が持てるところも良かった。
ファンタジー好きならとてもお勧めできる作品だと思います。
同名のプレステ2用ゲームをノベライズした作品です。ちょっと調べてみると、どうもゲームのファンからはこの小説に対して厳しい評価があるようでした。というのも、ICOというゲームはかなり説明を省いた作りになっていて、ストーリーについてはプレイヤーの想像に任せている部分が大きい。自分なりのストーリーを思い描いていた人からすると、それとズレた部分が違和感になってしまうからみたいです。
僕はこのゲーム遊んだことが無かったので、純粋に小説として楽しめました。
主人公のイコは生まれながらに生贄とされることが決められていた少年。生贄として捧げられた“霧の城”で、鋼鉄の檻に閉じ込められた少女と出会ったイコが、少女と共に外の世界を求めるというストーリー。
導入部分では生贄として育てられたイコと彼の育ての親、友人が、理不尽な運命に苦しむ姿が丁寧に描かれています。独特な世界観や活き活きした少年たち、そこに重苦しく圧し掛かる呪い。物語りの世界に引き込まれました。
おそらくゲームそのものの再現であろう城の描写や冒険についてはちょっと読み難いなと思う部分もあったけれど、それでも少女の手を引きながら進んでいく緊張感が伝わってきます。
中盤からクライマックスにかけては少女の視点や無人の城の過去の姿が描かれ、少しづつ序盤に展開された謎を解き明かしていきます。
城の空気感というのかな、無人なのに松明が灯り、幽霊が徘徊する雰囲気が冒険の感覚を味わえてすごくいい。その雰囲気の中でも、主人公のイコが前向きで希望が持てるところも良かった。
ファンタジー好きならとてもお勧めできる作品だと思います。
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