神林長平氏著『魂の駆動体』読了。
僕自身あまりクルマと言うものに興味が無いので、勧められていなければ読まなかったであろう一冊です。
物語は、自動車が自動運転に切り替わり、一部の人間が肉体を捨てて仮想空間に移住し始めている未来が舞台。
主人公とその友人は老人ホームで気ままに暮らしているのですが、あるきっかけから「自分で運転するクルマ」の設計にとりかかります。
自動車の設計に関する詳細な描きこみそのものもなかなか興味深く読めるのだけど、ハードウェアに対するこだわりを綿密に表現することにより、逆にこのストーリーのテーマである「魂」や「意識」といったものについて深く考えさせられる気がしました。
イメージにこだわる主人公と理屈っぽい技術屋などが粘り強く意見をぶつけ合い、ケンカしながら設計していく様子はすごくリアルで楽しい。
クルマという複雑な機械を作り上げていく様子、エンジンの繊細さや力強さ、走ることについての思いなどなど、ちょっと厚めの本だったけど一気に読めました。
中盤からは読者があっと驚くような展開も待っています。読んでよかったと思える一冊でした。
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