2008/01/31

村上春樹『東京奇譚集』


5つのお話がまとめられた短編集。
“奇譚”という表現は絶妙。その辺にいそうな登場人物が、ギリギリの非日常を経験するようなエピソードが描かれています。

どの話も面白いんだけど、最後の「品川猿」がとても良かった。自分の名前を忘れてしまうという謎の症状に悩まされている主婦が主人公で、カウンセリングを受けに行く様子が淡々と進んでいくのですが問題の解決に向けての超展開が凄い。
現実にはありえない世界なんだけど、なぜか凄く納得できるんだよなあ。
今回でてきた「猿」とか、よく出てくる「羊男」とか多分そういうのって実際いるんだろうなあと思ってしまう。そんなリアリティが楽しいです。

2008/01/29

村上春樹・佐々木マキ『ふしぎな図書館』


本屋で見かけたので購入。児童文学です。上級生むけ絵本というかんじ。
佐々木マキさんのポップな絵が最初から最後まで楽しめます。
大きな字でさっくりと読み終わるストーリーだけど、なかなか良かったです。村上春樹は文章だけでも面白いし、世界観だけでも大作RPGが作れそうな深みがあるし、その上一言では表現できないような感情のもやみたいなものを感じとらせてくれるし、まあとにかくスゴイです。
時期外れだけど「羊男のクリスマス」もおすすめ。村上春樹・佐々木マキのコンビの絵本で、特有の不条理な、不思議な世界を堪能できます。

2008/01/24

リニアお返事

以前リニア新幹線計画について、長野県側はあまりに駄々こねすぎじゃないの?といったことを書きました。
そんで、こんな最果てのブログで叫んでも誰にも届かないと思ったので投書コーナーにも送っといたわけです。
そしたら。

来ました、お返事。たぶんネットで公開されちゃう可能性も考えたものなのかもしれないけど、まあそのままコピペっていうのも失礼な気がするのでやめときます。

まとめると次のようになります。
Bルート →遠回りコース。長野県協議会
Cルート →直線コース。JR

協議会(リニア中央エクスプレス建設促進長野県協議会)の主張は次のようなもの。
・協議会は、20年前にBルートにすることを決議している。
・11月に調査手続きの協力依頼があったけど、ルートについては未定と言われた。
・12月に協議会には断り無しでいきなり直線ルートの発表があった。

要は昔からBルートって決めてたのに突然Cルートって言われた!ということで協議会としては気に入らない、と。
でもこれ、まずこの協議会ってなんなんだ?「建設協議会」ではなくて「建設“促進”“長野県”協議会」なんだね。なんかすごく片思いな感じがするんですけど……「たまちゃんを守る会」みたいじゃん。
20年前の決議というのも、ちょっと壮大すぎるような気がします。勝手に集まって決議して20年放置してたのかな?それともなにかアクションを起こしてたのかな。この辺はまた聞いてみようかなあ。

もう一つ、メールに書いてあったのは「全国新幹線鉄道整備法」です。
『新幹線は、経済の発展と地域振興を目的とし、路線はこの目的を達成するよう全国の中核都市を連結する』
という法律で、協議会はこの「地域振興」のためにはBルートが必要だと考えているとのこと。

「経済の発展」「地域振興」「中核都市を連結」と、玉虫色なのでこれは受け取る人が都合いいようにしか受け取れない文面だなーと。多分JR側は「中核都市を連結」しなければならないからCルートを取る、と言うんだろうと思います。まあこの辺は双方ともがんばってくださいってところでしょうか。
ああ、お金出すのはJRなんだっけ。

これ出来たら地元の人たちはすごく利点はあるよね。飯田とか茅野あたりから東京まで20分なんてことになったら普通に通勤できるし。

上田人としての視点で言いますと、電車で茅野に行くのは3時間ぐらいかかってしまうのであまりメリットはなさそうです。
それどころか、上田-松本-茅野だと3時間なところを、上田-東京-茅野なら2時間で行けるとかいう笑える状況になりますなあ。県内に行くのに4県またいだ方が近いのか、すげー。

リニアっていいな、未来っぽくて。透明チューブの中をタイヤの無い車で走る、ぴっちりしたスーツを着た21世紀の人々は何処へ行った。

2008/01/21

佐伯泰英 『寒雷ノ坂』


佐伯泰英 著『寒雷ノ坂』読了。
『陽炎の辻』から続くシリーズの2作めです。バリバリの時代小説。

江戸時代はいいなー。読んでると行ってみたくなる。なんと言っても中世ファンタジーですから。
しかも、ここまで練りこまれたファンタジーというのは普通読めない。グインみたいにどんなに巻数を重ねても、指輪みたいに言語まで作りこんでも、ここまで生活感にリアリティーがあるファンタジーっていうものを作るのは難しいだろうなと思うのです。まあ実在した世界なので当たり前なのかもしれないけど。

なんか漠然とした視点だと、江戸時代というとおサムライが農民から年貢を取り立てて苦しめていい思いをしているという北斗の拳的な感覚しかなかったりするわけですが(そんな貧相な江戸イメージは僕だけ?)、あとはなんかエチゴヤ的な悪い商人がいて賄賂をわたしてるとか。

しかし時代小説読んでるとサムライの人たちは殿様を社長にして治安や防衛、都市計画や農地の整備・開墾などなど、想像以上に複雑な会社運営をしていたようでなかなか興味深い。
商人達などは為替取引やら先物取引やらをやっていて、ツールが紙と筆しかないだけで結構現代と変わらない市場感覚を持っていたんじゃあないかとまで思ったりします。

お話のほうですが、1巻で不運なきっかけにより友人同士斬りあって生き残り、貧乏浪人として江戸に住み始めた主人公の坂崎さんがいろいろな事件を解決していくといった内容です。
坂崎さんの誠実なキャラと独特な剣術の描写が気持ちよく読めます。
細かなエピソードを重ねていくうちに、友人を斬らなければならなくなった出来事が偶然ではなく、大きな陰謀によることがわかってくる……といった展開でした。

すごく盛り上がってきたので続きが読みたい!だけど他にもいろいろと読みたいものが。
1日有給とって「精神と時の部屋」に入りたい。

2008/01/17

東野圭吾「秘密」


東野圭吾作、「秘密」読了。
広末が出てた映画は見たことありません。まあなんとなく手にとって読んでみたわけですが……。
切ない。主人公の平ちゃんの感情のゆらぎにこちらまでえぐられます。

このお話はSFで良くある入れ替わりネタ。事故で妻の直子を亡くし娘も意識不明。意識を取り戻した娘は、自分を妻の「直子」だと言い出す、といった内容です。

入れ替わった時点での直子は小学生で、最後は大人になるところまで時間が流れていきます。
小学生になったおばさんというコミカルな状況と、事故原因にまつわる人間模様という重いテーマが入り混じってストーリーが始まり、良い感じに引き込まれます。
中学から高校と進んでいくにつれて若さを手に入れた直子と、それをどう扱っていいのかわからなくなっていく平介との関係性が描かれていきます。この辺がねぇ、平介がかわいそうでもありキモくもありで一番キツくて鬱で面白いところだと思います。

最後のところはねぇ……後味悪いような。泣けるけど。全体的に泣ける場面が多いんで最後も泣けますけど、でもなあ。ぐあぁって感じですなあ。どんよりとなれます。
もしかすると女性が読んだほうが面白いのかもしれないなあ。

文章やら雰囲気はとても気に入ったので、また別の作品も読んでみたいと思います。

2008/01/12

天帝妖狐


乙一氏作、『天帝妖狐』読了。
2話入ってました。1話めは「A MASKED BALL」というお話。
トイレの落書きをネットの掲示板代わりにして不思議なやり取りをしているうちに、学校の中でいろいろな事件が起こっていくという内容です。ジワジワきて終盤一気に盛り上がる、楽しめる作品でした。
ネットを舞台にしたお話っぽいんだけど、実際に同じ場所に来てペンで書いているというところがミソなんだなあ。面白かったです。

2話めは表紙にもなっている『天帝妖狐』。
下手をするとマーブルヒーローズになってしまうのでは?と思うほど派手なラノベ的設定なんだけど、程よくグロく切なくていい感じ。後半バイオレンスな展開は、登場人物たちの心情はともかく面白かったです。

短編2本構成はなかなか読みやすい。でもじっくり長いお話も読んでみたいです。Jojo4部のノベライズも買ってある……というか本がまだまだ積んであってヤバイ。買わずにこなしていくしか。

2008/01/10

小説 エマ 1、2巻


読みました。
内容はマンガそのものでしたけど……良いです。すごくいいです。原作の森さんが描く挿絵もマンガそのものなんだけどなんか雰囲気がいい。
まあ文章で読んでるとどうにもハキムさまの居所が無いなあという感じがしますけど。象とかハキム・ガールズの華やかさはやっぱりマンガで登場したからこその存在感だと思います。ガールズは無言で面白いことやってるイメージだから小説だとどうしようもないんだろうね。

元が表情でつなぐマンガだっただけに、エマさんの内心が文章で書かれるとまたこれがいいんですよねぇ。
1巻は、出会いから仲良くなっていくところなのでとてもさわやかで甘酸っぱい感じです。ヴォァーって叫びたくなりますw

2巻はねぇ、親父さんに反対されたりしながら二人で出かけるシーンがあって、切ない感じです。先生もあれだしねぇ。
マンガでいえば4巻ぐらいまでなのかな?原作の方のマンガもすごく面白いんですが、小説版もかなりお勧めできます。3巻以降が楽しみ。

2008/01/09

リニア


昨日、地方局で放送されまくってたニュース、ちょっと気になったので書きます。
リニア、別ルートに戸惑いの声 沿線「経済効果、期待できぬ」 というニュース。

まあ簡単に説明すると、リニア新幹線をまっすぐ通すか遠回りして通すかでモメてる、という内容です。

図を上に貼り付けてみました。遠回りのルートが県側の案、直線のルートがJRの案です。
これさー、素人目に見ても黄色の線は無理あるだろうと。
県知事がJRに対して激しい怒りのコメントをする映像がかなり流れてましたけど、この地図みたら笑うよ。世界最速、最高の技術で東京-大阪間を1時間でつなぐリニアが、なぜわざわざ諏訪のような田舎町に寄るために数100キロも寄り道しなきゃいけないのか。
JRは自力で建設するって言ってんだし、へたすりゃ「長野県は避けて通します」なんてことにもなりかねないよね。
現状、南信は陸の孤島であるわけで、ここは飯田に確実に駅を作ってもらうのが最重要なんじゃないだろうか。その上で諏訪-飯田間の交通を整備すれば今よりはかなり便利になるはず。

計画されている沿線の他県はこっちに寄らせろとか好きなこと言ってるのだろうか。あんまり偏った主張を長野県としてされると同県民としてちょっと恥ずかしいので勘弁してもらいたい。

と、ここに書いてもアレなので長野県の投書にも送りつけてみる。

2008/01/06

正月の過ごし方


2年参りに行き、年越し蕎麦を食べ、一発目のブログを書き込んで、さあ寝るかと思ったら寝れないんです。
お腹が苦しい。
食べ過ぎたのかと思っていたらなんかおなかいたい……え?まじでいたいんですけど。

結局おちおち眠れもせず、元旦は何も食べずポカリを飲んで過ごしました。
2日、3日もおかゆを食べて過ごしました。なんという節制生活。
ずーっと寝ながら『のだめカンタービレ』のドラマ観てましたよ。ヨーロッパ編も全部観ました。マンガをそのまんま映像化した感じで、妙な演技にイライラしつつ笑うという変なテンションでした。

ああ、T君に借りていたマンガ『マスターキートン』全巻読み終わりました。これは面白かった。
それから封印していたニンテンドーDSを引っ張り出してFINAL FANTASY TACTICS A2をやり始めてしまいました。TACTICS ADVANCEを1年ぐらい遊び倒したんで嵌りすぎるのが怖くて逆に手をつけられなかったんだけどね。
始めるとやっぱ楽しいねこれ。

ていうかね、6日まで休みだったんだけど家族としか会話しませんでした。孤独なスタートでいきなりくじけそうですが、まあがんばっていこうと思います。

2008/01/01

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。
二年参りなどというものに何年ぶりかに行って来ました。雪がちらちら降ってて、結構寒いです。
まあとにかく、いい年になるようにがんばろう!