綿谷りさ『インストール』読了。
主人公である高校生の朝子は、自分の存在意義や将来に対する漠然とした不安から、なぜか自分の部屋のものを全部捨てるという暴挙に出ます。その時ゴミ捨て場で出会った小学生から風俗チャットのバイトを持ちかけられるというなかなかはじけたお話。
会社で休み時間をぬってあっという間に読み終わりました。若さ故の、自分を持て余している感覚がそのままに表現されており楽しい作品です。
どっぷり感情移入するほどではなくて、誰かのブログを読むようなライトな感覚で読み進むことができます。導入のところはいかにも“初めて書いた”といった凝った文章になってますが、ぜんぜん嫌な感じはしない。
話題作りとか、当時の受賞の是非については良く分かりませんが、単純に一つのお話としてなかなか面白かったです。
ネットの描写が少々レトロだな、と感じて、ほんの数年でネット環境がまたものすごく変わってしまっているんだということに気づいた。本作品が文藝賞を受賞したのが2001年。電車男以前の、ネットが市民権を得始めた頃の雰囲気がかすかに思い出される気がします。
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