2008/09/09

宮部みゆき『ICO -霧の城-』

宮部みゆき著、『ICO -霧の城-』を読了。
同名のプレステ2用ゲームをノベライズした作品です。ちょっと調べてみると、どうもゲームのファンからはこの小説に対して厳しい評価があるようでした。というのも、ICOというゲームはかなり説明を省いた作りになっていて、ストーリーについてはプレイヤーの想像に任せている部分が大きい。自分なりのストーリーを思い描いていた人からすると、それとズレた部分が違和感になってしまうからみたいです。
僕はこのゲーム遊んだことが無かったので、純粋に小説として楽しめました。

主人公のイコは生まれながらに生贄とされることが決められていた少年。生贄として捧げられた“霧の城”で、鋼鉄の檻に閉じ込められた少女と出会ったイコが、少女と共に外の世界を求めるというストーリー。

導入部分では生贄として育てられたイコと彼の育ての親、友人が、理不尽な運命に苦しむ姿が丁寧に描かれています。独特な世界観や活き活きした少年たち、そこに重苦しく圧し掛かる呪い。物語りの世界に引き込まれました。
おそらくゲームそのものの再現であろう城の描写や冒険についてはちょっと読み難いなと思う部分もあったけれど、それでも少女の手を引きながら進んでいく緊張感が伝わってきます。
中盤からクライマックスにかけては少女の視点や無人の城の過去の姿が描かれ、少しづつ序盤に展開された謎を解き明かしていきます。

城の空気感というのかな、無人なのに松明が灯り、幽霊が徘徊する雰囲気が冒険の感覚を味わえてすごくいい。その雰囲気の中でも、主人公のイコが前向きで希望が持てるところも良かった。
ファンタジー好きならとてもお勧めできる作品だと思います。