小川一水氏著『老ヴォールの惑星』読了。
SF短編集で、4作品が収録されていました。
『ギャルナフカの迷宮』というお話が特に気に入りました。
最低限の食料と水のみが与えられた、果て無き迷宮に閉じ込められた人々の話。極限の環境に置かれた人々がどう行動していくのか。
はじめは迷宮の中で出会う人々は、他の人間に会うと石を武器にして牽制しあうような状態です。
自分の命をつなぐために猜疑心に満ち溢れた世界になっているのですが、主人公の行動によって段々と変化していきます。
とても力強く、感動的な終わりでした。面白かった。
最後に収録されていた『漂った男』も良かったです。
たった一人で助けの来ない状態、ただ通信機だけがあって会話が出来るという状況。
SF的要素を使って特殊な状況を作り出して、そこに放り込まれた主人公がどうなっていくのかといったお話の組み立てで、とても引き込まれました。
自分ならどうするだろう、と考えるのがまた楽しい。
他2編も良かったです。『時砂の王』もそうだったけど、これぞSFだっていう感覚が良い。他の作品も楽しめそうです。
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