2008/04/26

乙一『失踪HOLIDAY』


乙一氏作『失踪HOLIDAY』読了。

表題作のほかに「しあわせは子猫のかたち」というお話が収録されていました。
不器用で他人を避けるように暮らす主人公と、優しい幽霊と、その幽霊に残された子猫のお話です。喋りもしない幽霊がなぜかとても爽やかで生き生きとしていて、逆に大学生で輝いている時期のはずである主人公が鬱々としている対比が面白い。
少しずつ変化していく2人と1匹の生活がすごくいい雰囲気で描かれているうえ、ファンタジックな設定に突き刺すように仕掛けられたサスペンスの要素も楽しめました。

ゴチャゴチャとわかったようなことを書きましたが、単純なことを一つ。泣けます。幽霊の人柄の温かさに泣けます。
そんなわけでおすすめ。ページ数は少ないのですぐ読めると思う。

表題作の『失踪HOLIDAY』は、中学生の元気で、ちょっと高飛車な感じの女の子が主人公のお話です。
家出をして、自分の家の様子を探るために自宅に忍び込み、隠れたまま自分の失踪を狂言誘拐に仕立て上げていってしまうというドタバタっぽい楽しい内容です。主人公の感情の起伏と、同居人になった使用人の女性とのやりとりが面白い。
前半は、なし崩し的ななりゆきがコミカルに進んでいくんだけど、終盤の盛り上がりは熱いです。
乙一氏の作品としてはめずらしくちょっと長めのお話だったけれど、同じテンポで楽しめました。


うーん、しかし、猫は反則だよなあ。ブログのネタとしても猫は飛び道具。似たようなネタの日記があったとしても猫の写真が貼ってある所が無条件に来訪者数で勝利を収めるだろう。