司法試験の論文問題に、“もしも「ネット規制法」があったら?”という出題がありました。
問題はこちら(PDFファイル)。
これ、なかなか面白いです。よく未来物の映画なんかで「行き過ぎた管理との戦い」っていうテーマがあるけど、まさにそんな感じ。
ここで登場するネット規制法は次のようなものです。
・年齢制限をかける。ネットワーク機器にはすべてフィルタリングソフトウェアを導入する。
・どのページを“有害”と判断するかは政府の「フィルタリング審議会」の判断による。
・認証ソフトを導入しなかったり、削除した状態で子供に使わせた場合は違法となり罰則がある。
・18歳以上であれば、手続きをすることによりフィルタリングソフトを削除することができる。
この条件付けで、さらに次のようなストーリーが展開されます。
・Aさんは平和問題に関するページを運営していた。このページの有用性は社会的に認められていた。
・しかし、その中にあった写真が残虐であるとして、フィルタリングの対象になってしまった。
→この時点で18歳未満はもとより、フィルタリングを解除しなければ大人でも見ることはできない状態になる。
・問題となった写真は直接表示するようにはなっておらず、不快感を与えるかもしれない画像として注意文をつけた上で別ページに掲載していた。
・Aさんはこれらの処置への対抗策として、自分のページがフィルタリングを通過できるようにするソフトを開発。これを新しい別のページにフリーソフトとしてアップロードしたところ、捕まってしまった。
で、設問は「あなたがAの弁護人だったとしたらどう主張するか答えなさい」だそうです。これは実際受験したら大変だろうなあ。
ハリウッド映画だったらまずフィルタリングハックの技術を狙う組織からの接触がありますね。審議会の手を逃れて組織にかくまわれて、すごい地下研究所とかを見せてもらったりして一旦は安心するんだけど実は「審議会」と組織のトップはつながっていることを知ってしまう。
そんで組織も逃げ出して、警察と組織の両方に追われて逃げ回った挙句にマザーコンピューターかなんかを爆破、みんなが自由にネットを見られる世界になってめでたしめでたしと。まあこんな感じでしょうか。
妄想ストーリーは置いといて、論文はどんなのが正解なんでしょうね。「法律で決まったことなんだから違反したらダメだと思います」とか書いたらサックリ落とされるんだろうな(笑)
模範解答とかあったら読んでみたい。素人目には「審議会」あたりが突込み所なんだろうなとは思うけど、どう弁護するか?なんていわれてもサッパリですね。
時間内に憲法を引用しながら問題点を突いていく文章をまとめるなんてことができればそりゃあ弁護士になれるだろうさ、うん。
しかし問題文の「ネット規制法」、ある意味リアルで気持ち悪い。
プログラマやってるとサンプルソースを探したり計算式を探したりドライバを探したりというのはもう日常で、ネット無しでは立ち行かないです。年齢規制はともかく、ネットの時間規制論なんてまったく論外です。プログラマに限らず、他にもネットに依存して成り立ってる仕事もたくさんあるんじゃないかな。
法人個人で制限を変えればいいと言う話もあるかもしれないけど、抜け道になったり問題が複雑化するだけで何の解決にもならない。
政治家さんやテレビの有識者さん(笑)の方々、インターネットはメディアじゃなくてインフラであるということをよく理解した上で議論して欲しいなあと思います。
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