2008/07/07

乙一『さみしさの周波数』

乙一氏作、『さみしさの周波数』読了。いや、読んだのはもう1ヶ月以上前なのですけれど、読書メモです。
4つの短編が収録されていました。

『手を握る泥棒のはなし』
これはなかなか楽しいお話でした。泥棒をするために壁にドリルで穴を開けて、手を突っ込んだらその手を掴まれてしまうという展開です。
泥棒が男性で室内にいるのが女性。お互い手を掴みあった状態での会話のやり取りと駆け引きで話が進んで行き、どうなるのかとハラハラします。

『フィルムの中の少女』
映像の中の少女が、1度目の再生では完全な後姿で写っているだけなのに、次に再生した時は少し振り向いていて、また次に再生した時はもっと振り向いていて……
という、ある意味良くあるタイプの怪談を使ったお話です。
文章が、終始フィルムを発見した女性が誰かに語りかけているように書かれており、読み進むにつれて“聞き手”はいったい誰なんだろう?とジリジリとした緊張感が味わえます。
オカルト的な主題と推理と、最後にはじんわりとした感動も。なかなか楽しめました。

乙一作品はちょっと調べてみるとかなり映像化されてるみたいです。
『手を握る泥棒のはなし』もドラマかなにかになっていたようで、これはすごく見てみたいと思いました。

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